私は、幼少期、いじめられっ子でした。ロッカーや机に変なものを入れられたり、結構本格的なイジメでした。中でもいちばん辛かったのは、クラス中から無視されるという経験です。自分の存在が丸ごと否定されるというのは、とてもかなしいものでした。
しかし、ある楽器との出会いで私の人生は変わりました。吹奏楽部に入ったのです。内気な性格だった私も楽器を通すことで、自分の存在をアピールすることができました。そうして、次第に友達も増えていき、今ではすっかり普通の人です。
そんなことがきっかけで、大学まで音楽を続けたのですが、せっかくいただいた大きな舞台で大失敗してしまい、それ以来、音楽はやめてしまいました。情けないやら、申し訳ないやらで、しばらく落ち込んでいました。
しかし、今は、都内のIT企業でプロモーションの仕事をしています。気がついたらもう10年近くも会社員をしています。音楽をやめることなど、考えられなかったのに、やめてみたらなんてことなく普通に暮らしています。そして、たまに考えるのです。音楽なんて必要なかった。私の学生生活は一体なんだったのだろうと。
前置きは長くなりましたが、今回は、音楽の必要性について私の考えをまとめてみました。
やりきれない時に人は音楽を聴くのではないか
最近になって音楽はやっぱり人生に必要なんだと思う出来事がありました。
ある、親戚の男の子の話です。彼は、もう10年近くも引きこもりをしています。運動も勉強もでき、友達も多かったのですが、中学生くらいから突然学校に行けなくなりました。
そんな彼が、一生懸命勉強をして大学に入学したのが、今から5年前。元々、頭が良かったこともあり特待生で大学にいきました。そして、昨年卒業したのですが、就職が上手くいかず、自殺を考えてしまっているとのこと。
これは、全て叔母から聞いた話なのです。そして、彼と久しぶりに会ったときに、なるほどと思いました。彼は、自分の人生にとても後悔しているのですが、そんな彼の拠り所になっているのが音楽でした。ドライブしながら自分の好きな曲を聴くことが彼の人生の支えになっているようです。
私は思いました。人生には、自分の力ではどうしようも出来ないようなことがあって、そういう、怒りや悲しみと向き合うときに音楽を聴くのかもしれないと。
もちろん、人生を豊かにするような楽しい音楽も必要なのですが、人の心に寄り添う音楽の素晴らしさを改めて感じることができました。
あなたの音楽で救われる命があるかもしれない
この出来事がきっかけで、私も自分の人生に少し誇りを持つことができました。
音楽は決して無駄なものではないのです。親戚の彼も、私も音楽に救われた人間の一人です。音楽のおかげで人生が豊かになり、今は音楽をやっていて良かったと心から思います。
今、音楽をされている皆様には、どんな形でも、諦めないで続けて欲しいと思います。人からどう思われたっていいのです。あなたの音楽に救われる人がきっといるはずです。
彼に届く素敵な曲が、世の中に増えることを心から願っています。